この度、パートナー企業((一社)日本技術者連盟、トラスティア(株))との協働により発案した、災害物資統合供給プラットフォームは、災害等有事における物資の迅速・確実な調達と平時には国内外での必需品販売の支援を提供します。また、導入により期待できる更なる価値、効果は以下のとおりです。
1 災害対処プラットフォームとしての拡張性
GSA Advantageにある物資供給の他、サービス提供、輸送などの物流最適化機能に倣い、当プラットフォームはロジスティクスを主軸とした内閣府の「物資調達・輸送調整等支援システム」との連携も視野に入れた機能の拡張が可能です。その際にはAIを活用して自治体等から多くのデータを収集し、合理的なロジスティクス支援や災害対処支援計画、備蓄計画の策定が期待できます。
なお、GSA Advantageにない輸出支援機能に新たな要素(既存のサイトをベースにSNS、動画等活用)を組み込む予定であるため、更なるビジネスチャンスの創出も見込まれます。
2 地方創生の促進
当プラットフォームは、JBSHOPの輸出支援機能を活用することで、地方の中小企業や事業主が海外展開や輸出ノウハウがなくとも、これまでの地産地消型の災害用品等を国際市場に進出させることが可能です。
また、JBSN(当プラットフォームのオリジナルストックナンバー)は、NSNの分類番号を基に国内外での製品照合が可能であり、都道府県番号(NSNでは国籍番号)による製品の位置情報管理に活用できます。この都道府県番号により、各自治体は緊急時の調達先(自治体間協定)を選別でき、自らの番号登録数が災害対処力の指標となるため、地域の関連産業の活性化や自治体間の広域連携による地方の自立を促すことが期待されます。
更に、NSNに登録されている製品の多くは一般用品であり、他国同様、Eコマースを視野に入れた国産品の国際市場展開にも応用できます。例えば、NSNには穀物や食品も含まれるため、農林水産省やJETROなどの輸出支援ツールとしての活用も検討可能です。
3 防衛力・経済安全保障の強化
NSNは米国ではDLA(国防ロジスティックス局)、日本では防衛装備庁が管轄し、NATOカタログ制度(NCS)のコード番号としてグローバルなロジスティクスとサプライチェーンで重要な役割を果たしています。
しかしながら、日本国内においてはNCSの海外展開への活用が進まず、他国のように基地調達品や施設用品がNSN登録に含まれていない現状があります。そのため、当プラットフォームとJBSNを組み合わせたNSNの活用を促進することで、企業の国際市場進出や防衛省・自衛隊への調達参入を後押しし、防衛装備品の質的向上や防衛産業の育成にも寄与するものと考えます。
また、自衛隊でNSNを使用する自衛官が定年後、各自治体の防災担当者や防災用品関連企業で活躍できる場を提供することは、定年自衛官の適切な処遇改善につながり、NSNの活用推進にも貢献します。
そもそもNCSは、NATO諸国をはじめとする民主主義国間のサプライチェーン支援を目的とし、防衛装備品やデュアルユース製品のデータ保護、加盟国外への流出防止、戦略的不可欠性を図る経済安全保障の上でも有効な手段です。
企業がレピュテーションリスクとしてNCSの活用を懸念する中、災害対処や人道支援を対象としたプラットフォームの構築は、そのリスクを払拭し、広く受け入れられる可能性があります。