関税交渉後の新たな道―JBSNによる米の戦略的利活用と地方創生

 2025年の関税交渉により、日本の米生産者はかつてない厳しい環境に直面しています。輸入圧力の増大により、国産米の市場競争力が相対的に低下する一方で、日本の農業の持続可能性や地域経済への影響も懸念されています。

 こうした中で、Japan Bosai Stock Number(JBSN)制度は、農産物、とりわけ米の「備蓄」「増産」「輸出」戦略を包括的に支援する枠組みであることを紹介します。


1 関税リスクへの新たな防波堤 ― 戦略的備蓄の可視化

 国際交渉による価格下落リスクや貿易障壁の緩和に対し、JBSNは「国家備蓄物資としての公的分類番号」を通じて、国産米の備蓄対象としての信頼性と位置づけを明確にします。特に、防災備蓄用の認証米(例:アルファ化米、真空パック米など)にJBSNコードを付与することで、自治体や官公庁による優先調達が容易となり、平時の過剰米を有事の戦略物資へと転用する道が開かれます。


2 増産インセンティブと農業の再活性化

 JBSN制度により、備蓄・調達需要が可視化されることで、計画的な米の増産が可能となります。例えば、地域ごとにJBSN登録された「地域ブランド米」や「加工向け備蓄米」などを設定すれば、農家の販路拡大・価格安定の一助となり、将来的な減反政策の見直しにもつながります。

 また、災害・人道支援用途としてのJBSN認証米の活用は、国際協力やODA案件において日本産米の活路を拓き、農業と外交の連携強化にも資するものです。


3 輸出支援と地方創生のエンジンへ

 30Advantageが推進する「災害物資統合供給プラットフォーム」では、JBSNコードによって登録された製品群をグローバルな調達対象として提示可能です。これにより、各地の農協や地域企業は、単なる一次産品ではなく「JBSN認証済みの信頼性ある防災用米」として海外バイヤーに向けて発信することが可能となり、地方発の輸出モデルの形成が期待されます。

 特にアジア諸国や中東・アフリカ地域では、日本の保存食技術への信頼が高く、「備蓄可能で安心安全な日本米」の需要が年々高まっています。


 今後の展望

 JBSNは、製品の分類と供給信頼性を同時に担保する、まさに「災害対応×経済振興×農業支援」の統合インフラです。今回の関税交渉結果は、国内農業の再編と持続化に向けた警鐘であると同時に、JBSNを通じた新たな備蓄・輸出戦略を進める絶好の機会でもあります。

 今後、30Advantageでは、㈱国土強靭化GXの事業としてのJBSNコードの付与支援、備蓄向け製品の選定、事業パートナーであるトラスティア社との海外展開支援を通じて、農業と防災、そして地方の未来を結ぶソリューションを実装してまいります。